エスプリライン本社のある川越は小江戸とも呼ばれ、昔ながらの蔵造りの家では今も商売が営まれ、週末には多くの観光客が集まる活気のある街です。
全国各地で大切にされている日本の精神、文化はここ川越でも大切にされています。この思いを世界に伝えたい日本
のこころとして、川越に暮らす人々を紹介していきます。
第2回目は、レトロなデザインバスで小江戸の街を巡回している、イーグルバスグループ代表取締役社長谷島賢さんにお話を伺いました。


もともと父がイーグルトラベルという旅行会社
をやっていたんです。それで観光事業をやっているとどうしても観光バスが欲しくなるじゃないですか。
ところがこの時代は厳しい免許制度で、誰でもバス事業を始められるわけではなかったんです。それで当時、私は都内の観光会社に勤めていたんですが、戻ってきてくれということで、戻りました。そして福祉送迎でバス事業に参入し、10年間の実績をつけて、89年、観光バス事業をスタートしました。サービスを重視した5つの基本精神(創客、革新、社会貢献、お客様第一主義、信用)のもと、利用者が求めるサービスのあり方にこだわりながらバス事業を展開。現在は総合バス会社として送迎バス、観光バス、小江戸ばす、小江戸巡回バス、路線バス、高速バスを取り扱っています。
小江戸巡回バスの色は赤と緑と青で、最初は蔵の町の黒によく合うからという理由で赤を入れたんです。緑は、ヨーロッパの馬車、青はレトロっぽいということで選びました。形も蔵の町の景観を損なわないようにこだわっています。パンフレットをはじめ、必ずデザインにはこだわるようにしています。デザインを事業に取り入れることが一つのポリシーです。
何年か前に、アメリカ人の友人ポールのプロデュースによるアメリカ人から見た川越ということで『Nostalgic Little Edo Tour』と称したバスツアーを実施しました。
ところが、実施してみて分かったのですが、通訳と通訳ガイドは別物だということなんです。ようするに通訳ガイドのライセンスを持っていても、通訳になってしまう。疲れていないか様子を見たり、つまらなそうにしていたら話題を切り替えたり、そういう気遣いがなくて、台本どおり持っていくだけなんです。私は添乗員をやっていたことがありますので、余計に気になってしまったのかもしれませんが、難しいなあと思いましたね。今、小江戸巡回バスの車内アナウンスは英語と中国語に対応しているので、同じように機械による通訳オーディオガイドプロジェクトを進めています。
また、今後はハイクラス層向けのプレミアムツアーを企画したいと思っています。都内の5つ星ホテルからリムジンで、ガイドではなくコンシェルジュという名目で川越の最高級なものをご案内する。やっぱりブランドをつくっていかなくてはダメだと思うんですね。川越って今、その境目だと思うんです。川越は本物であってほしい、本物志向にしていきたいというのが根底にある願いですね。
川越のいいところというのは、僕もこの間気づいたんですが、皆さんがこの中で生活をしながら、町を維持している。この点はやっぱり誇っていいのかなと思います。普通、観光地って生活のにおいはしないけれど、川越はまさにライブなんですよね。この点はほかのところと違うと思うんです。
それから、川越って何かにちょっとこだわっているというのがありますよね。例えば蔵の色にしても何で黒なのか、普通は白ですから。川越祭りで引く山車も回転するようになっていたり、そういうこだわりってやっぱりほかにはない。すごく粋だと思うんです。
2年前からは路線バスにも参入しました。うちは路線バスを観光型路線(外から来るお客様を乗せる)、生活路線だけど赤字で補助金が出ない路線、過疎地路線(補助金が出る)の三つに分類し、生活路線だけど補助金が出ない路線に特に力を入れています。ほかのバス会社が撤退してしまう一方で、結構利用する方がいるんです。ですから科学的にデータをとって、採算の取れるダイヤをつくろうじゃないかということで、埼玉大学と共同でシステムを開発しています。ときがわ町と東秩父のほうでも路線バスをやっていますが、あそこは最近ウオーキングのお客様がいっぱい来ます。だから観光による町興しで観光客を呼び寄せれば、バスに乗る方は必然的に増えると思うんです。うちはもともと旅行会社なので、そういう発想で社会貢献をしていければと考えています。
会社として利益を出そうと思えば、正直どういう職種でもいいわけです。でもそれはやめておこうというのがうちの考え方ですね。うちは運輸業じゃないよ、サービス業だよ、ということを社員にも言っています。そこが大事なんです。今後も品質とサービスに徹底的にこだわって、あそこの会社がなくなったら困るといわれるような会社を目指していきたいと思います。
イーグルバスグループ代表取締役社長 谷島 賢さん

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谷島社長は小江戸観光協会理事として観光都市・川越のまちづくりにも参加している。
「昔は川越がイヤだったんですけどね(笑)。でも平成元年、大河ドラマ『春日の局』で川越が観光地となったときに、鎌倉でも倉敷でも観光地のイメージっていいじゃないですか? そういう意味でちょっとがんばってみようかなと」。
2007年、10月にニューヨークで行われた「小江戸川越と歌麿の世界inニューヨーク」の冒頭のあいさつでは流ちょうな英語で川越をPR(取材していた当社スタッフも驚くほど英語が上手だったそう)。さらに福祉送迎バスと観光バスのノウハウを生かし、外国人障害者の川越への観光ツアーも受け入れている。地域貢献の先には、世界が待っているようだ。